特別な事情がある場合の遺言
1、特別方式による遺言とは?
特別方式による遺言とは、特別な事情がある場合にだけ認められる遺言をいいます。
遺言の種類を大きく分けますと、
- 「普通方式による遺言(自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言)」
- 「特別方式による遺言(病気や事故などで死が間近に迫っており、遺言者が単独で遺言書を作成することが困難である場合などの特別な事情がある場合にだけ認められる遺言)」
に分けられます。
法律上は、特別な事情がない限り、「普通方式(自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言)」によって遺言をしなければならないとされています。(民法第967条)
2、特別方式による遺言の種類
(1)一般危急時遺言(民法第976条)
一般危急時遺言とは、病気や事故などの事由によって死亡の危急に迫った人が、証人3人以上の立ち会いのもとに遺言の内容を口授して、証人が遺言者に代わって遺言書を作成する方式によって行う遺言です。
この方式によれば、死亡の危急に迫った人が口頭で遺言をすることができます。
一般危急時遺言の場合、遺言の日から20日以内に、証人などが家庭裁判所に請求をして「遺言者の真意に基づいて遺言がなされていること。」の確認を得る必要があります。
(2)難船危急時遺言(民法第979条)
難船危急時遺言とは、船舶が遭難して死亡の危急に迫った人が証人2人以上の立ち会いのもとに遺言の内容を口授して、証人が遺言者に代わって遺言書を作成する方式によって行う遺言です。
この方式によれば、死亡の危急に迫った人が口頭で遺言をすることができます。
難船危急時遺言の場合、遺言の日から遅滞なく、証人などが家庭裁判所に請求をして「遺言者の真意に基づいて遺言がなされていること。」の確認を得る必要があります。
(3)伝染病隔絶地遺言(民法第977条)
伝染病隔絶地遺言とは、伝染病のため行政処分によって交通を断たれた場所に在る人が警察官1人及び証人1人以上の立ち会いのもとに遺言書を作成する方式によって行う遺言です。
一般社会との交通が遮断されている人が「公正証書遺言」などができない場合に備えて認められた遺言の一つです。
遺言者は、原則として遺言書に署名・押印をしなければなりませんが、遺言書の「本文」を代筆してもらうことができます。
(4)船舶隔絶地遺言(民法第978条)
船舶隔絶地遺言とは、船舶中に在る人が船長又は事務員1人及び証人2人以上の立ち会いのもとに遺言書を作成する方式によって行う遺言です。
一般社会との交通が遮断されている人が「公正証書遺言」などができない場合に備えて認められた遺言の一つです。
遺言者は、原則として遺言書に署名・押印をしなければなりませんが、遺言書の「本文」を代筆してもらうことができます。
3、特別方式による遺言に関して注意すべきこと。
特別方式による遺言は、特別な事情があって「普通の方式による遺言」ができない場合に備えて認められた遺言です、
そのために、遺言者が「普通の方式による遺言」ができるようになった時から6ヶ月間生存するときは、特別方式による遺言は失効します。
この場合、遺言者は「普通の方式による遺言」を行う必要があります。
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